2018年8月16日木曜日

平成の終わりに

 8月に入り、平和に関するいろんな取り組みがあり、今日の終戦記念日の全国戦没者追悼式など国家的行事も開催されている。そして今年は、マスコミの報道でそれぞれの行事、取り組みに「平成最後の」という冠が付いている。私は元号反対論者でもないし特にこだわりもない。どちらかというと、昭和生まれという事で平成には馴染めず、「昭和」という言葉にノスタルジーを感じている。そんな平成30年の終戦記念日、全国戦没者追悼式に臨んだ天皇には特に感慨深いものがあったのではないかと思う。

今朝の「毎日」朝刊の【余録】で昭和天皇の皇后から疎開していた皇太子、今の天皇にあてた手紙に「(お父さま)は日々大層ご心配遊ばしましたが 残念なことでしたが これで 日本は 永遠に救われたのです」と書いている。玉音放送の2週間後のことである。我が子への、身内故の正直な気持ちが表れている。

 また昭和天皇から皇太子への手紙もよく知られているとして「今まで戦争の実情を話さなかったのを、先生と違うことを言うことになるので控えていたと述べ、『ゆるしてくれ』と記した」とある。

皇后といい、天皇といい、軍国主義の中での親子関係から終戦により幾分開けた普通の親子関係になった様な雰囲気があったようで親しみを覚えた。

今の天皇は皇太子時代から沖縄をはじめ全国の戦争記念の場所に慰霊に訪れ、来年退位しても慰霊の行為は続けるらしい。

もうひとつ「毎日」から、14日付けの夕刊、特集ワイド「この国はどこに行こうとしているのか」で俳優の鈴木瑞穂さん(90歳)が憲法9条が掲げる非戦の理想を引き下ろし、改憲を目指す勢力への厳しい批判をしている。

鈴木さんは昨年、永年の演劇界への貢献が認められ第45回日本新劇製作者協会賞に選ばれた。その授賞式で小説「ドン・キホーテ」で知られる作家セルバンテスの言葉を引用し「夢だけを見て現実を見ないやつは度し難い。現実だけを見て夢を見ないやつはもっと度し難い。だが、救いようがないほど度し難いのは現実を夢に近づけようと努力しないやつだ」とスピーチした。

日本統治下の朝鮮半島で育ち、戦争末期に海軍兵学校に入るために日本の地を踏んだ軍国少年が敗戦で「大人の言うことなんか信用するもんか」とニヒルになった。そんな鈴木さんが伯父の勧めで京都大学に入り、ここで新憲法に出会った。
「日本は戦力を放棄する。もう二度と戦争はしないと書いてある。」と感動し、「戦地で無残に死んだ兵学校の上級生たちの遺言に思えた」と語っている。

 平成の終わりに語るべき昭和人の言葉として記憶しておきたい。