2014年6月24日火曜日

見逃すな!懲りない人たちを

  かっての職場のF先輩(組合活動の)が出版された「雑文集」(とご本人は仰ってるが)に「確信犯」【2008・11】という文章がある。なぜ、6年前のこの文章を引っ張り出したかというと、先日の石原環境相の「除染廃棄物の中間貯蔵施設」建設をめぐる「最後は金目でしょ」発言と、東京都議会での女性議員への「セクハラやじ」事件があったからだ。
 石原大臣の「金目」発言は当初「発言取消はしない」としていたが福島県民や多くの国民の批判の声に、自ら福島県に出向き、謝罪して廻った。地元町長も「(自ら出向き)けじめという事で深く受け止めたい」と謝罪を受け入れ、どうも一件落着のようだ。
 また、都議会の「セクハラやじ」事件は、張本人の自民党都議が名乗り出て謝罪した。こちらの方は、他の悪質なヤジの犯人探しが続いているが、被害を受けた女性議員の対応次第という事になりそうだ。
 今回のこの二人の「失言」「ヤジ発言」問題での記者会見での言い訳が本質的には全く同じ内容で「発言の趣旨は相手を傷つけるつもりはなかった」「全くの誤解、私の品を欠く発言で不快な思いをされた方にお詫びしたい」とヤジや発言の趣旨が誤解されたので謝罪したい、撤回したい、というものだった。そして、一人は会派を離脱することで「みそぎ」をし、一人は堂々と今後も「福島の被災者に寄り添い仕事を精一杯続ける」との賜わっている。
 先輩の「確信犯」の内容は、当時【2008年11月】の航空自衛隊のトップだった田母神空幕長が解任された事件の事を書いておられる。解任理由は、田母神氏が寄稿したある論文で「日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行した」「自衛隊は集団的自衛権も行使できない。武器の使用も制限され、がんじがらめで身動きできない」などと歴史を歪曲し、露骨な憲法敵視の持論を展開したことによる。当然、大きな批判を浴び、解任された(2008年当時はである)。
 田母神氏は、第一次安倍内閣の時に、空幕長に任命された経緯がある。先輩は田母神氏の論文での発言を単なる「失言」ではなく「確信犯」であり、憲法を順守すべき自衛隊のトップが憲法敵視の発言をすることは重大であるとともに、このような人物を任命した安倍内閣の憲法に対する姿勢が問われており、憲法順守の姿勢を内外に鮮明にすることが必要だ、と断じておられた。
 田母神氏はその後、東京都知事選挙に出たり、反共スピーカーとしてTVに出たりしている。まったく懲りていない「確信犯」である。問題はこのような人物がなぜ今も世間に受け入れられているのか?という事だ。
 6年たった今、第一次安倍内閣で田母神氏を任命した安倍首相が、いま正に持ち出しているのが「集団的自衛権の行使容認」である。歴代の自民党内閣の歴史認識、憲法に対する姿勢をきちんと正そうとせず、田母神氏解任で済ませてしまった「ツケ」が今、廻ってきているのではないだろうか。今回の二人の「失言・ヤジ」事件もこのまま一件落着という事で済ませてはいけないと思う。国民の監視と、責任追及が最後まで必要だ。

 
 
 写真は全然関係ないが先日書いたブログの洋食屋さんの「幻のオムジャーマン」を作ってみた。味はそこそこだったが、見た目はやっぱり本職の「彼」には到底及ばない「卵の焼き加減」だった。

2014年6月16日月曜日

「嘘も方便」では困る

ルールをよく知らないのでもう一つ興味が湧かないのがサッカーである。しかし4年に1度のワールドカップとやらがブラジルで開催され、TVや新聞は大騒ぎをしている。
 この大騒ぎが予定では7月14日まで続くらしい。らしいというのは、日本チーム、これを「侍ジャパン」と呼ぶらしいが、日本が決勝リーグまで勝ち進めば、という条件付きではある。
 侍ジャパンが1次リーグで敗退すれば過熱しているマスコミ報道も急激に冷め、にわかサッカーファンの関心もしぼんでいくだろう。
 この事を一番恐れているのが安倍内閣だという説があるという。何故なら、多くの国民が過剰なマスコミ報道、TV中継に熱中している間に「集団的自衛権の行使容認」という閣議決定をしてしまいたいからであるという説である。
 なるほど、安倍内閣の太鼓持ち新聞社や反共新聞社を除けば大方の新聞社の論調は「閣議決定には反対」 である。安倍首相の周到なマスコミ懐柔作戦(大手マスメディア各社トップとの頻繁な会食)にもかかわらずである。だから、国民の関心がワールドカップに向いている間に閣議決定に持ち込みたいというのが本音であるという話には「そうか、そうか」と頷ける。
 しかし、国民は馬鹿ではない。新聞「赤旗」は連日のように憲法改悪に反対する抗議行動や「9条の会」の大江さんらの活動を報道している。ワールドカップに熱狂している、と思われる国民の多くも、各種世論調査では、「自衛隊の海外派兵」や「憲法改定」には反対である。この熱狂が冷めれば、安倍内閣が言っている「集団的自衛権は国民を守るもの」という「ウソ」を簡単に見破るだろうと思う。
話はサッカーに戻るが、TV中継されている試合の中で見られるヘディングシュートやキーパーのファインセーブは確かに見事なものである。しかし、それ以外のというか、それに至るまでの選手たちのゴジャゴジャした(サッカーファンの皆さん、ごめん)動き、そして一番気に入らないのが相手チームのファールを誘うかのような転倒プレーや過度な演技での審判へのアピールである。およそスポーツマンらしからぬ態度である。こんなプレーもテクニックの一つだという事かも知れないが、長々とこんなシーンばかりを見せられると全くの興ざめである。
 「嘘も方便」という諺があるが真剣なスポーツと国民の命と安全にかかわる政治の世界では通用しないと断じたい。

2014年6月6日金曜日

「サラメシ」事情は?

現役時代は昼ご飯、NHK番組風に云うなら「サラメシ」が楽しみだった。職場の近所の松屋町(大阪では”まっちゃまち”と発音する)で中古の自転車を買い、ウメダあたりまでペダルを踏んでグルメ本に載った名店のランチを食べて廻った。ただし、いくら高くても1000円以下、喫茶店のランチは食べない、というのが私の「サラメシ道」であった。 そんな名店のひとつに「コタニ」という洋食屋があった。
 地下鉄堺筋本町駅の改札を出たすぐの処にあり、付近のサラリーマンやOLでいつも満員だった。入り口で並んで待っていると元気のいいママさんが先に注文を聞きに来る。店の中はカウンター席とテーブル席とで30人ぐらいの感じのいいスペースだった。
 「コタニ」の看板メニューは「オムジャーマン」だ。オムライスをグラタン皿に入れ、上からブラウンソース(店ではジャーマンソースと呼んでいた)をかけ回し、オーブンでぐつぐつと焼きあげ、アツアツを食べさせる。中身のチキンライスがシンプルな味なので濃厚なソースと絡み合ってとても旨かったが、私がいつも注文するのは「オムコロ」だった。「オムコロ」はオムライスの横に小ぶりのクリームコロッケが二つ付いて、ジャーマンソースではなくトマトソース(ケチャップソースではない)がかけられてあった。いつもこれを頼むものだからママさんは「たまには他のものを頼んだら」と笑いながら注文を取ってくれていた。キッチンの中のコックさんも若いがベテランで、私はいつもカウンター越しに彼の熟練の技をセットのスープを飲みながら眺めるのが好きだった。チキンライスを卵でくるむ段になると彼の神業が見れる。ケチャップの空き缶に入った溶き卵をフライパンに流し込み、すぐさま余った溶き卵を空き缶に戻し入れる。そして用意してあったチキンライスを使い込んだ杓文字で卵の上にのせ、フライパンをほんの2~3回あおるだけ、その間、わずか20秒足らずである。
私は思うのであるがオムライスの卵の厚さは、薄い方がいいと思う。油でベトベトした厚手の卵のオムライスは好まない。ましてやタンポポオムライス(映画『タンポポ』に登場した)のように半熟オムレツを上に乗せるオムライスは邪道だと思う。スプーンを軽く乗せると皮がはじけて破れるぐらいの薄さがいい。そんなオムコロを月に2~3回は自転車に乗って食べに行っていた。
  退職してからも何回か嫁はんと食べに行ったがランチタイムを少し外していったこともあるがマスターが店の入り口の丸椅子に腰かけ文庫本を読んでいた。腰が悪いとは聞いていたが何となく元気がなく、今度来るときは嫁はん手作りのブックカバーを進呈しようと思い、何か月か過ぎた頃、久々に行くと、店の外観はそのままだが、マスターもママさんもいない。店の名前を確かめたら変わっていた。メニューに「オムコロ」もない。仕方なく、オムジャーマンを食べ、キッチンにいたおじさんに聞くと「前のコタニさんから『店やらないか』と云われ跡を継いだ」という事だった。その後店はもう一回変わった。店の外のメニュー写真の「オムジャーマン」は最早コタニのそれではなかった。私も退職して10年、サラメシとも縁遠くなり、店の様変わりに文句を言える資格は無くなった。元の職場の後輩に聞いた「サラメシ事情」も大きく変化している。昼休憩が短縮され、外に食べに出る余裕もなく、職場の周りに売りに来る街頭スタンドの弁当屋の弁当かコンビニ弁当を買って簡単に済ませているとか。昔のように「コタニ」の数々のメニューに心ときめき、コックがあおるフライパンの中で踊るチキンライスの神業に見とれる、そんな楽しい「サラメシタイム」は望めないのか。誰が作ったか分からない弁当を職場の机の上で黙々と食べ、残った時間を昼寝に費やす、そんな職場に未来はないように思うが少し飛躍しすぎたかな、反省。