2017年8月28日月曜日

The Great March On Washington

 
  きょう828日は54年前、人種差別の撤廃を掲げキング牧師らがワシントン大行進をした日である。
 
 そのアメリカで今、人種差別団体とこれに反対する団体との衝突事件をめぐって「どっちもどっち」と差別団体の肩をもったトランプ大統領の発言が問題となっている。

 アメリカの衝突事件の発端は、南北戦争の南軍のリー将軍の銅像を撤去させようとしたところから発生したと云われている。ご存知の通り南北戦争は黒人奴隷制度の存続を巡って起こった内戦である。(と私は教えられてきたが)1860年に大統領に当選したリンカーンは奴隷制度の存続に反対し、綿花栽培を多くの黒人奴隷に支えられてきた南部諸州が合衆国から離脱し内戦が勃発した。
 その南軍の象徴的な将軍がリー将軍であり、彼の銅像を顕彰することは奴隷制度を認め、人種差別を認めることになるという理由で撤去が求められたと私は理解している。
 
 内戦は1865年、北軍の勝利で終息したがしかし黒人差別はその後も続いた。1870年に形式上黒人に参政権が与えられたが州法によって扱いが違い、正式に参政権が認められたのはなんと1965年(昭和40年)の事である。
 
 この間のアメリカでの黒人差別は多くの映像で残されているし、1963年のワシントン大行進(全米各地から20万人が参加した)の映像はオールディズCDのテレビ通販のCMになって繰り返し放送されている。それほどつい最近の、身近に起こったことなのである。

  いまも世界でどれだけの人々が人種により、思想により、性別により、貧富の差により、差別され続けているかを私はごく一部しか知らない。知らない事の方が圧倒的に多いのだろうと思う。だからと云って口を噤んでいいのだろうかと思う。ミサイル発射に驚喜する北朝鮮の国民の姿を見て「なんと民度の低い」と見下してはいまいか。日本だって僅か70年前は大本営発表に騙され「神国日本」を信じていたのだ。 

 小池都知事が関東大震災時の朝鮮人虐殺を追悼する式典への追悼文を今年は送らないという。去年は前例に倣って送った追悼文を、あの石原元都知事でさえ送ってきた追悼文をである。人間は都合の悪い事は、忘れたい、無かった事にしたい、と思うものらしい。
 
 「『都慰霊協会の追悼行事があるから皆慰霊しているではないか』というらしいが、天災事変の被災者と故なく虐殺された人々を『皆』で括るのは論理のすり替えである」という長谷やんのブログの指摘もある。
 
 「過ちを繰り返してはならない。」安易な結論のようになったが8月28日という特別な日に改めて思う。
 
 


2017年8月16日水曜日

静かな一日を

 
  北朝鮮の核兵器・ミサイル開発をめぐる米国と北朝鮮の間の緊張が高まる中で72年目の終戦記念日を迎えた。
  テレビでは朝鮮半島通と云われるコメンテーターや芸能人があれやこれやと声高に叫び、国民の不安を煽っているようだ。
 私は正直言っていくらなんでもそんな(米朝開戦)ことを本気で考えている訳なかろうと思っていた。
 しかし、ある画面を見て俄かにその考えを変えなければいけないのではないかと思っている。
 その画面とは、北朝鮮の指導者が勲章を沢山ぶら下げた軍人たちを従え軍事施設を視察している場面であったが彼の右手にはタバコが挟まれていた。いわゆる歩行喫煙である。
 
 私は子どもが生まれたときに禁煙した。それまで2回禁煙に失敗していたが子どもの将来に対する責任から禁煙した。
 北の指導者は肥満からくる諸病に悩み、そのストレスからなかなか禁煙が実行できないという噂である。
 私は禁煙できない人間をダメな奴だというつもりはない。ただ言えるのは、私は自分の子ども一人のために禁煙した。
 北の指導者には彼を敬愛し、信奉している(と云われている)多くの国民がおり、彼等の大切な命を預かっているはずである。その指導者が禁煙すら出来ない、そんな指導者の言う事がどこまで信用できるのか、と思う。
 かたやの米大統領も北の指導者に負けじと大口を開け、脅しをかけている。そんな彼らの動静を見てこのままでは危ないぞ、とそう思うのである。
 そんな中、日本共産党の志位委員長は「米朝両国が、直接相手の意図を確かめるすべのないまま、軍事的恫喝の応酬をエスカレートさせることは、たいへんに危険である。それは、当事者たちの意図にも反して、偶発的な事態や誤算による軍事衝突につながりかねないことを、強く憂慮している。」述べ、危険なチキンレースにのめり込み、国民の命と世界の平和を危うくする動きに対して冷静な対応を呼びかけている。
 
 今日の記念式典で天皇は「過去を顧み深い反省を」と述べられた。大切な国民の命を預かっている指導者には、勇ましい、ハッタリ言葉でなく、真剣に平和を考える1日を過ごせないものかと願っている。


2017年8月10日木曜日

折り鶴バッヂを着けて

 
 9日の長崎平和祈念式典後の被爆者団体と安倍首相との会談での被爆者団体代表、川野さんの訴えには驚かされた。
 通常は首相ら政府側が被爆者団体から要望を聞く場であり、冒頭セレモニーとして要望書を手渡すのだが、今回はいつもとは違う切羽詰まった思いが安倍首相にぶつけられた。
 
 「貴方はどこの国の総理ですか!私たちをあなたは見捨てるので
  すか!」と。
 
 会談後、川野さんは、「失礼な言い方だったかもしれませんがそれでも反応は出てこなかった。残念です。」とその反応のなさに驚き、唇をかみしめておられた。

 国連で「核兵器禁止条約」がついに採択された、という記念すべき年の大会であった。
 ヒロシマ、ナガサキの被爆者たちの長年の地道な運動が実り、国連で条約が締結されたその会議の場に唯一の戦争被爆国である日本の代表がいなかったのである。政府に裏切られたという思いが川野さんらに強くあっての行動、言葉であった。
 テレビで見る限り、要望書を受け取る安倍首相の顔に驚きも、戸惑いもなかったように見えた。この男には被爆者の切羽詰まったこの声、訴えにも何の感慨もないのかと思った。
 会談後の記者会見で首相は「真に『核兵器のない世界』を実現するためには、核兵器国の参加を得ることが不可欠だ。しかし、条約には核兵器国が1カ国として参加していない」とし、「核兵器国と非核兵器国の隔たりを深め、『核兵器のない世界』の実現をかえって遠ざける結果となってはならない」と主張し「条約は、我が国のアプローチと異なるものであることから、署名、批准を行う考えはない」との方針を白々と述べた。

 この事を報道したある局の女性キャスターは、中満泉国連軍縮担当上級代表とのインタビューの中で「(核兵器廃止への)我が国のアプローチと異なるから条約は批准しない、ということについてどう思うか」と質問した。
 中満さんは「被ばく者の方々はじめ市民社会の方々も言葉を尽くしていろんな所で発信されてきた、(そのことが)私の原動力というか動機にはなっていた」と前置きした上で「むしろ日本の国内でいろいろ議論して頂きたい、・・・目に見える形でこれからの核軍縮に向けた歩みを止めないでほしい」と答えた。
 
 コーナーの結びで女性キャスターは核保有国及び同調する国の中で唯一、国連会議に出席したオランダを引き合いに出し、「出席を促したのは国民の署名だった」と紹介し国民の取り組みの重要性と必要性を付言した。
 
 私も友が購入してくれた中満代表が付けているのとお揃いの折り鶴バッヂを着けて外出している。