2018年4月29日日曜日

1年後の四匹のオッサンたち


 昨年1月の「旧友再会!四匹のオッサン」で20数年ぶりの旧友再会を報告した。その時「これからは年数回集まろうよ」と約束して別れたがなかなか果たせずにいた。
 電話では何回か連絡し合っていたのだが4人のうち一人は家業を継いでいて平日よりも土日にと、一人は昔からのギャンブラーで土日はターフに夢を追いかけて多忙、という事情もあったが今回1年ぶりに集ることが出来た。
 集合場所を去年と同じ場所にしたのだが大阪組の二人がなかなか現れず携帯を入れると違う場所で待っていたらしい。齢と共に記憶は薄れていくようだが、こんな時に携帯の有難さがよくわかる。
 会うことが決まってからどこでランチをとるか、食べログで検索したが大阪駅周辺のレストランは土日のランチは予約が効かず、3月に中学校の同級生のおばちゃんたちとランチをした店に電話を入れるとOKをしてくれた。
 「生きとったか~」で始まり「乾杯!」の後は1年前と同じく病気の話が中心の近況報告となった。
 たった1年しか経っていないのだが話は尽きない、持病の話や、TVに出てくるタレントの名前が思い出せない、等々定番のおジイ話がさく裂したが若い頃、スティーブ・マッキィーン(私たちの間ではマックイーンではなくマッキィーンと呼ぶ)に憧れてポーカーの真似事や葉巻を燻らせたりしたこと、その時のタバコの名前までがすらすらと出てくることに驚きみんな標準的なオッサン、いやオジンになっていることを確認し合った。
 あっという間に2時間半、和食膳とビールだけなのに邪魔扱いせず楽しい時間をくれた店に感謝しながら次回はいま流行りの箕面の温泉施設に行こうという事になったが、ランチと云いながら長時間居座らせてくれた店に感謝しながらこの次もこの店で、とならないところがオッサンらしい図々しさか、と笑って別れた。

2018年4月14日土曜日

平和の旗手を惜しむ

 
 アニメ映画監督の高畑勲さんが亡くなって昨日は代表作「火垂るの墓」がテレビで再放送された。 いまなお、その死を追悼する声が続いている。
 監督の最後の作品「かぐや姫の物語」のサブタイトル(キャッチコピー)は「姫の犯した罪と罰」という少し意味深なものだったが「となりの山田くん」以外の劇場公開作品は観たがやはり最高傑作は「火垂るの墓」ではなかろうか。
 自らの戦争体験をベースに平和の大切さを訴える作品である。私はこの映画を劇場で見て以来、二度と観ることが出来ないでいる。
 戦災孤児となった兄と幼い妹の死があまりにも無常であり、何の罪もない子どもが犠牲になる戦争の非情さが胸をかきむしり、最後まで観れないからだ。
 監督が亡くなっていろんなコメントが出ている中でニュースサイト「LITERA」にこんな記事があった。

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生前、高畑監督は「『火垂るの墓』では戦争を止められない」と発言していたことは、本サイトでも何度か紹介してきた。

【高畑監督】
「『火垂るの墓』は反戦映画と評されますが、反戦映画が戦争を起こさないため、止めるためのものであるなら、あの作品はそうした役には立たないのではないか」(神奈川新聞201511日付)
 一方、その高畑監督が『火垂るの墓』の次に撮ろうとしていた“まぼろしの作品”については、あまり知られていない。監督作としての次作は1991年の『おもひでぽろぽろ』になるが、実はその間、高畑監督は別の企画を進めていた。しかし、ある理由によりお蔵入りになったという。「国公労新聞」20041111日合併号のインタビューで監督自身がこう語っている。
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 以下、その国公労新聞の一部をコピーして貼り付けた。

  今年の新春インタビューは、アニメーション映画監督の高畑勲さんです。数多くの名作をつくりだしている高畑さんですが、2003年夏には、フランスのアニメーション映画「キリクと魔女」の日本での上映に力をつくしました。スタジオジブリにおじゃまして、「キリクと魔女」の魅力とともに、それにつながる平和の問題についてお話をうかがいました。
 ~中略~
○戦争で問題は解決しない  憲法9条が今こそ大切
--小泉首相はイラクに自衛隊を派兵しようとしていますが。
高畑  小泉首相はブッシュのいいなりに派兵しようとしていますが、とんでもないことです。今ほど憲法9条が大切なときはありません。自衛隊の現実と9条に矛盾があることはそうだけども、憲法はある程度、理想であるべきだと私は思います。 その理想をかかげて、その方針の中で国は動いていくんだというのと、理想もなく、ましてや戦争肯定でやっていくのではまるで違うでしょう。
 戦争でテロを撲滅するというブッシュの考え方は、これまで戦争がもたらしてきた痛苦の歴史から何も学んでいません。戦争によって問題は解決しないとする憲法9条の考え方こそ、これからますます大切になっています。自衛隊のイラク派兵や憲法改悪は、戦争とテロの悪循環の泥沼へ沈んでいくだけです。  
〇侵略戦争の加害責任をきちんとする必要がある日本
--このような状況で、戦争の悲惨さを痛切に訴える「火垂るの墓」は、なおさら多くの方に観て欲しい作品だと思います。
高畑  「火垂るの墓」をつくって16年たちましたが、さいわい毎年夏にテレビで放映され、DVDやビデオでも観ていただいています。私自身、小学4年生のときに、岡山市で空襲にあいました。家を焼かれ、家族とはぐれ、火の中を2日間逃げまどいました。
 戦争の悲惨さを体験したものとして、平和の大切さを訴える作品をつくることができたことはよかったのですが、一方で、日本のしかけた戦争が末期になってどんなに悲惨だったかだけを言っていてもいけないと思っています。じつは「おもひでぽろぽろ」をつくる前に、しかたしんさん原作の『国境』をもとにして、日本による中国への侵略戦争、加害責任を問う企画を進めていたのです。残念ながら、天安門事件の影響で企画が流れたのですが、日本が他国に対してやってきたことをきちんと見つめなければ世界の人々と本当に手をつなぐことはできないと思っています。
 ○労働組合のおかげで仲間ができ民主主義を学んだ 
-最後に私ども労働組合の仲間へのメッセージをお願いします。
高畑  私は東映動画の労働組合で副委員長をやったことがあって、宮さん(宮崎駿氏)とは仕事ではなく、労働組合で知り合いました。労働組合のおかげで多くの仲間ができ、職場集会で毎日のように議論したり、苦労して日刊の機関紙を発行する中で民主主義を学びました。みなさんも仲間をたくさんつくって行政をよくしていってください。
--長い時間ありがとうございました。(0312月1日、インタビュー収録)
               -引用終わり-
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 宮崎監督との出会いも労働組合活動を通じてのものであったし、平和と民主主義への行動も続いていて、「特定秘密保護法」に反対するデモに参加し、辺野古にも行かれていたそうだ。もう少し生きて多くを語って欲しかった人である。なお、アニメ映画監督として有名だった監督のもう一つの仕事、というか才能が音楽に造詣が深く作曲もされたという事はあまり知られていないかもしれない。
 アメリカ映画「ROSE」の主題歌「ROSE(ローズ)」の日本語訳「愛は花、君はその種子」の訳詞は監督の作品である。平原綾香の歌う「愛は花、君はその種子」は心にしみる名歌詞だ。
*『ローズ』(原題:The Rose)は、1979年製作のアメリカ映画。ヒロインのローズはジャニス・ジョプリンがモデルとなっている。
 主題歌「ローズ」は主演のベット・ミドラーが歌い、数多くの歌手がカバーし、スタンダード・ナンバーになっている。 






2018年4月12日木曜日

春は来るか?


 久しぶりに義父の見舞いに行った。嫁はんの言うには、肌艶もよく、目が覚めている時は「寒くない?」とか「しんどくない?」とかの簡単な質問や受け答えには頷いたり首を横に振ったりとかの反応はあるという事だった。
 そこで今回私はICレコーダーに義父が元気だった頃よく歌ってくれた「My Old Kentucky Home(ケンタッキーの我が家)」を取り込み、イヤホーンで聴かせることを看護師の許可を得て試みた。
 結果は「聞こえてる?」に対しては頷く、「この歌覚えてる?」には首を横に振るというあいまいな反応しかなかった。
 その後何回か試みたが反応は変わらず、ひょっとしたら口ずさむのではないか、という期待は実現しなかった。
 ただ嫁はんが「6月の誕生日には99歳やで!」というと「歳とったな~」と明確に応えてくれた。危険防止のため入れ歯を外されているので明確には聞こえないのだがこの時は、嫁はんと「ハッキリ聞こえたな」と喜び合った。
 入院当初、「胃瘻の必要性もありますよ」と云われていたが、現在もチューブによる鼻からの食事で、この前は「水をスプーンで6杯飲まれましたよ」と看護師から報告も受けた。まだまだ先行きは不明な点も多いが6月の白寿の誕生日には何かお祝いを考えようと思う。