義父が緊急入院、そして退院してから初めての脳外科の再診があった。
4月の12日、朝から食欲もなく、頭が痛い、という義父の様子がおかしいと思い掛かりつけの内科医に往診を頼み診ていただいたが手指の痺れもなく、言語もしっかりしているがちょっと気になるのでM市民病院の緊急外来へ紹介状を書いてあげる、という事になった。
実は義父は、その4~5日前に頭を打ったというのでその先生に診てもらっていたのだが心配ないだろうという事だった。で嫁はんは11日から友達と約束していた韓国旅行に出かけていたのだ。
紹介状を見たドクターはすぐ「CTを撮りましょう」と云った。
その結果、脳内に血腫があるから詳しく調べるため入院しMRIを撮りますという事になった。MRI画像を前にして脳外科のドクターは「外傷性の内出血であり、脳血管からの出血ではない事、出血部位と血腫による浮腫が脳幹部から遠位にあり症状が軽くて済んだこと、外科手術は無く血腫の吸収を待つしかない」というものでドクターはMRI画像を見ながら「超高齢の患者さんの脳血管像としてはクリアですな~」と驚いておられた。
ドクターの診断結果を聞き、入院の手続きの説明を受けながらも私の頭の中は嫁はんに電話するかどうかを迷っていた。最悪の事態はないものの帰国するまであと2日、黙っておく訳にもいかず、電話した。嫁はんも驚いていたが早速現地代理店に頼んでみるという事にして電話を切り、嵐のような1日が終わった。
そして先日の再診のCTの結果は脳内にあった血腫はほぼ吸収されており、問診にもほぼ正常な受け答えで、入院時治療にあたってくれたドクターも「よかったね」と喜んでくれていたらしい。ただCT画像に「(老人性)脳アミロイド血管症」が診られる、これは加齢から来るもので根本的な改善は難しい、といわれたようだ。「今の身体状況から投薬は可能だから出しておきます。」と98歳という年齢からやや気休めのような投薬治療なのだろう。
M市民病院のこのドクターに私は信頼を置いていた。入院時に見せた義父のせん妄状態に驚く私に対し、冷静に説明して安心させてくれた時、退院を前にしての自宅介護の心構えなど専任の看護師と共にいろいろと教えてくれた。
そして何より驚いた、というか感動したのは見舞いに行ったとき、そのドクターが義父のお茶のステンレスボトルを手に持って病室に入って来て「お茶が飲みたいと云うので汲んできました」と手渡してくれたことだ。
家に帰って嫁はんと「軽い先生やな~、けどエエ先生やな~」と感謝した。だから今回も気休めかもしれないと思いながら(当方の勝手な思いだが)投薬をしてくれたこと、退院に際し「本人にとって退院し自宅に、が一番です。病院に居てもろくな事がない」という驚きの言葉も納得して聞いた。
退院してからの義父は、前立腺肥大の影響からの頻尿と便秘に悩んでいる。というか尿道カテーテルを入れており昼間は3~4時間ごとに採尿するのだが、だからトイレに行かずともいいのだという認識がないのだ。だから夜寝ている間は尿パックをと用意してもひどい時は10分ごとにトイレに立つので初めは嫁はんも眠れなかったようだ。
今もそんなに良くなった訳ではないが嫁はんにも割り切るように言っている。その代わり、その反動は私が引き受けている。嫁はんのストレス過重にならないようにと、これまで続けていた月2回の木彫教室とお絵描き仲間の集りの時は昼間、私が介護に行っている。でも介護というより「見守り」のようなもので慣れれば楽なものである。この状態が続けばいずれショートステイなどにも行ってもらい、夫婦二人の旅行も可能となるのではと思っている。
こんな絵が描ける程度まで回復してくれるのが目標だ。
介護についてはいろんな人がいろんなことを言っているので、適当に取捨選択するのが良いようです。
返信削除最近の言葉では、あんまり真面目な介護よりも少々だらしない介護の方が長続きするという言葉に私は頷いています。
そのリードは直接の子よりも義理の子がリードした方が良いようです。
専門家の知恵と力をできるだけ受けるように考えた方が展望が開けるように思います。
アドバイス有難うございます。
返信削除介護とは云えない、本当に「見守り」という感じの接し方ですが、とにかく私の役目は嫁はんのカバーと考えています。
前文科次官の前川氏の「貧困現場調査」を「ありえない」という人がいますが私はそういう「現場主義」は好きです。
返信削除「現場(現実)から倒錯している」といえば「要介護度」で、例えば身体がいうことをきかなくても判断がはっきりできている人は低く、判断もはっきりできない人は「重い」とされています。
机上では全くそのとおりでしょう。しかし、そこまで重くなると介護パンツになりますから、介護者は夜は眠れます。反対に「軽い」人は昼夜逆転や夜間の頻尿などで、介護者に休憩は24時間ありません。
「要介護度が軽いから家族は喜びなさい。我慢しなさい」という「常識」を乗り越える努力が必要だなあ」と常々思っています。
施設の所長さんたちにも、そういうナマの声を職員に教えてやってほしいと言われています。
無常さんの記事更新が1か月なかった時、義父さんの体調悪化を、連れ合いとも心配していました。比較的軽度の悪化とのブログを読みホッとしています。
返信削除それでも今後を考えれば大変であることは、間違いありません。私は自分が脳梗塞で入院した時は、入院日記をつけ、できるだけ客観的に病状を記録するようにしました。それが、後々の病状把握に役立ったと思います。