2011年9月6日火曜日

風の盆

 台風12号が近づいてきた9月1日は二百十日、昔から「野分け」-野を吹き分ける強い風-がくる季節とされてきた。また、この頃は稲の収穫前の大事な時期で米が主食の日本人にとって一番恐れるものの一つが「野分け」であったのだろう。 だから風を神に見立て、あらぶる神を風と共に送り出す、それが越中八尾の「風の盆」の始まりだと云われている。
 十年近く前に元の職場の研修仲間と訪れた八尾の町は、雨の後の湿った空気に坂道の祭りの灯りがにじんで、石川さゆりの唄の舞台そのものだった。




  そんな、「おわら風の盆」に魅入られた友がいる。今年も台風が近づく中、「明日から行って来るわ!」と電話をしてきた。この祭りの雰囲気に一度でも触れると熱に浮かされたように毎年通う事になる、と友は言う。たしかに、一度しか参加していない私でも、熱病(フィーバ)ではない、静かな、内に秘めた興奮がよみがえる。

 町を埋め尽くす観光客がいるのだが、普通の祭りの歓声はない。胡弓の名手と云われる女性が町を流し始めると皆がその後を追う。

 今年も友は、あの人を追いかけているのだろう。

 

1 件のコメント:

  1.  テレビで得た知識しかありませんが、情緒たっぷりの音と踊りですね。直接参加できるわけでもなさそうですが、それでもリピートしたくなるのは、それだけすごいのでしょう。
     台風12号は明治の台風で壊滅的な被害を蒙った十津川村を再び襲いました。吉野から熊野にかけての被害には心が痛みます。
     この時期の大風を恐れた八尾の皆さんの気持ちが、現実のものとして理解・共感できます。

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