2019年5月31日金曜日

忖度判決?


 昨日、「森友学園問題を考える会」から案内のあった大阪地裁判決の傍聴に行ってきた。
 判決は「勝訴」と「不当判決」という垂れ幕を掲げた木村市議と山本元市議の写真が物語っているように肝心な処を見ない忖度判決(大川主任弁護士談)だった。


 傍聴は数人の差で入廷できず判決後の報告集会に参加、吉村弁護士から判決の内容について報告があった。
 最初に裁判所が報道関係に配る「判決要旨」のコピーが配られ、吉村弁護士から、まだ全文を読んでないので正確な評価は難しいがとした上で

・国側の売買代金額等の不開示を違法とし、その事により原告側

 が受けた損害を認めた点は評価できる。

  が、本件事項、契約事項の一部(土地の地下に大量のごみが
 あったとして8億円もの値引きをしたことについて訴訟していた)
 を不開示にしたことについて 
 ・裁判長は土壌汚染や地下埋設物に関する瑕疵は土地の価格形成
  において減価要因として考慮されるものであり財政法の趣旨に
  鑑み、これを公表すべき要請は高く、情報公開法所定の不開示

 情報には該当しないという見解も十分あり得る、としながら
 も、程度はわからないものの相当量のゴミが存在していたこと
 は認められるものであるから、
    と結論付けたうえで
・汚染された土壌の上に建つ小学校に行かせたくないという住民
 の心理的嫌悪感は当然のことでありその事により森友学園側の
 事業運営上の利益を害する恐れがある事は否定しがたい、よっ
 て近畿財務局長が不開示とした判断には相応の合理的根拠が
 あったというべきであり、本件を不開示にしたことは国家賠償
 法上違法であるとは認められない。

という非常にあいまいな判決になっている、と報告された。

  報告を聞き、判決要旨のコピーを見ても本当に釈然としない、
「どっちやねん」と言いたくなる判決だ。
 不開示を違法ではないとした地下のゴミについて森友学園側が
「公にされたら困るから」と財務局に泣きついたのならともかく
 売却したら終わり、のはずの財務局が何故住民感情まで持ち出
し、学園側の不利になるからと不開示にするなどというこじ付け
 までして判決を下したのか?まさに「忖度判決」と云われても仕
方がないのではと思う。
 
 一部不開示の本当の理由、安倍首相夫妻が関与した不当な土地
取引を隠すために不開示にしたという肝心な部分については触れ
ていない判決になってしまい、木村市議も「釈然としない判決
だ。森友問題が終わったとは思っておらず、追及を続けていきた
い!」と憤っていた。
 
 一昨日は籠池夫妻による詐欺事件での大阪府私学課の職員に対
する大阪地裁の証人尋問も始まっている。
 
「森友」事件、まだまだ終わらせない!




中央後ろ姿の白シャツが私です。山本一徳元市議ブログから
 






2019年5月24日金曜日

文房に酔う


 大阪市内での会議が昼前に終わったので東洋陶磁美術館に「文房四宝」展を見に行った。
 「文房四宝」とは、筆、墨、硯、紙のことである。今回の展示物は主に中国明時代から清時代の文房具約150点のコレクションがラインナップされている。
 最初の「筆」は筆の軸と穂先を保護するキャップが一体の文具で堆朱(漆を塗り重ねたもの)の生地にさまざまな彫刻を施した凝ったものだった。
 筆先を痛めないようにキャップをつけるという形態は日本の筆には無い形だ。

 「墨」は大小合わせて1516個が並べられていた。
 そして見物は「硯」だ。掌の中に納まるほどの小さいものから30センチ近い大物まで。硯で有名な端渓の物も並んでいた。
 そして最後の「紙」だが目に付いたのは「詩箋(しせん)」と呼ばれる清時代後期の便箋と封筒だ。鮮やかな黄色に5爪の龍が織り込まれた薄絹に紙で裏打ちされた物で形は現代の封筒(長形3号)と全く同じ形だった。
 今回入り口で「カメラ撮影は可能です」と云われたが予定になかった見学だったのでカメラは持っておらずスマホでパシャパシャと撮っている人たちが羨ましかった。
 
 館を出て先日長谷やんのブログに出ていた「楝」の花を見に行った。館の近くの「栴檀の木橋」のたもとに栴檀(楝は栴檀の別名)の木があり長谷やんのブログで思い出したのだ。かなり成長した木にはまだ花が咲いていたが見ごろを過ぎ、歩道上に沢山散っていた。

ブログから
 *栴檀の木橋で思い出したが確か桂米朝さんの落語に商家の
  大旦那さんが番頭さんに「旦那」の謂れを言って聞かせる
  場面があって、旦那の旦は栴檀の壇からきている、という
  くだりがあったと思うのだが噺の題名がわからない、
  スノーさん教えてください。
 

2019年5月21日火曜日

町の経済学者


BS放送の番組に「地球タクシー」というのがある。「世界の街を訪れ、タクシーに乗車、その出会いから始まる、新しい感覚の紀行・情報ドキュメントである」という企画で時々見ているがこの前の放送では「大阪」を取り上げるというので録画しておいてゆっくりと見てみた。

東京から来たディレクターが何台かのタクシーに乗り大阪の街を走るのだが、その中で一人のタクシードライバーの話が面白かった、面白いだけでなく感銘を受けた。

66歳のそのドライバーはちょっと強面のおっちゃんだったが阿倍野から西成のドヤ街辺りを案内し「西成あいりんセンター」の前で車を止めこんな話をした。「わしらの感覚としたらここらの人間が儲かれへんかったら世の中良くならへんと思うねん。(ここらの人間が)日当1万円とかもろたら、その日のうちに金使いよる訳や。例えばおでん屋でおでん食うて酒飲んでバクチして。
そんなお金はどうなっているかというとおでん屋さんで金使う、そのおでん屋はおでんの材料を買うために豆腐屋さんで金使う、そしたらお金が廻る訳や、その日のうちにくるくるサイクルする訳や。ということはそのお金は1万円でも何人もの人の手に渡っていって廻る訳や。
ところが内部留保たら言うて何兆円も貯めた金なんか世の中に廻らへん、なんぼ大きな会社の経営者らが貯めた金なんて世の中に廻らへん。やっぱりここら辺のオッサンが裕福というほどやないけど、お金をもらえるような世の中や無かったら本当の底上げは出来へんで。人を救うような世の中にならんと、わしはそう思う。」

 昨日、内閣府が1月~3月期のGDP速報値を発表した。1~3月期のGDP速報値は物価変動の影響を除く実質で前期比0・5%増、仮にこのペースが1年続いた場合の年率換算は2・1%増となり、2四半期連続のプラス成長だったという内容だった。
 これを受けて菅義偉官房長官は「雇用・所得環境の改善、高水準にある企業収益など内需を支えるファンダメンタルズ(基礎的条件)はこれまで同様しっかりしている」との認識を示し、10月に予定する消費税増税への影響は「全くない」と強調した。

  しかしこの数字にはカラクリがあるというのがもっぱらの評判だ。共産党の小池書記局長はGDPがプラスになった最大の原因は「輸入が輸出の下落を上回る規模で大幅に落ち込んだため(輸入も輸出もマイナスなのだが)であり、内需は冷え込み、輸入も落ち込んだことで、計算上、GDPがプラスになっただけだ」と批判した。なんのことは無い、アベノミクスの失敗を何としても認めたくない安倍首相に忖度した数字のマジックだった。

景気の回復なんてどこの話、というのが我々国民の実感だがその意味で大阪のタクシードライバーの話はどんな政治家や経済学者の忖度しまくりの話より我々の胸にストンと落ちる。見事な町の経済学者の話だった。

2019年5月19日日曜日

原理原則に立つということ


全国革新懇が発行する「全国革新懇ニュース」に素晴らしいインタビュー記事が載った。語るのは作家の髙村薫さんだ。

髙村さんは社会派ミステリー作家として有名な方でグリコ・森永事件を題材にした「レディジョーカー」や異常なまでに綿密な取材と下調べで描いた「土の記」(未読)など、とにかく読むのに猛烈な忍耐と記憶力がいる長編大作を書く人だ。

その髙村さんが今の政治状況をこれほど簡潔かつ明確に語っておられることに驚いた。多分この記事の数倍を語っておられるかも知れないし、反対にインタビューに応えて語っておられるように言葉を削りに削って語られたのかもしれないがとにかく今の政治状況、特に大阪のダブル選挙後の私の欝々とした気持ちをスカッとさせてくれた記事だった。
以下、髙村さんの語った要点を紹介したい。

(安倍一強政権で起こっている忖度政治について)
   *( )内の質問内容は私が勝手に書きました。

髙村-どんな人格者でも長く地位にいれば必ず腐敗します。人間
    の常です。政治が腐敗すると当然、官僚も腐敗します。
   (中略)政権交代がいつあってもおかしくない緊張感があれば
    起こりえないことが起きています。
        安倍政権を続けさせているのは、私たち有権者です。この
      政権に代わる選択肢が見えないことが一番大きい。大変不幸
      なことです。
       大阪府知事選挙で、府民である私は自問しました。自民党
      政治が続いたら大阪は沈没する。しかし維新は私の政治信条
      に合わない。究極の選択を迫られるわけです。
       野党は共闘しなくては自民党に勝てません。

(戦後民主主義と政治の右傾化について)

髙村-政治の場で原理原則が崩壊しています。教育勅語にも良い
    ことが書いてあるとかなんとかいう国会議員がいますが教育
  勅語は戦後、国会決議で完全否定されています。内容云々で
  はなく、そもそも持ち出してはならないものである。これが
  原理原則です。
    問題の源流を辿ると、戦後の私たち日本人が、誰があの戦
   争を引き起こしたのか、誰に責任があるのかを検証せず、み
   んなが蓋をして、きちんと清算してこなかった。そこに行き
   つくと思います。

(改元と日本の政治の将来)

髙村-安倍首相が得意気に新元号の「解説」をやりましたが“違
  訳„も甚だしい。失笑ものです。政権が笛を吹けば国民が踊る
  と思っているのでしょうか。元号にかこつけて自分の政治信
  条を述べるなど、とんでもなくみっともないことです。
  (中略)実戦経験のない自衛隊を海外へ派兵するなど、全滅
  して来いというようなものです。日本に戦争するお金はあり
  ません。日本に戦争ができるわけがない。これが常識的な判
  断です。政府がなにも考えなさすぎていることに怒りが湧き
  ます。人の命をなんだと思っているのでしょうか。

(政治は言葉だ)

髙村-政治は一から十まで言葉です。政治イコール言葉です。政
  治の場で言葉が軽視されているということは、政治に中味が
  無いということです。(中略)桜田さんに大臣が務まるはず
  もありませんが、彼の答弁を含めた国会議事録が後世に残る
  のです。(中略)
    世の中なにかと言葉を連ね、「共感」を求め合っています
   ね。私は逆です。孤独でありたいです。世の中の付和雷同に
   抗って立っていたい。その中で自分が正しいと思うことをや
   りたいです。言葉はむしろ削っていくものだと思います。
    私にとって、書くとは削ることです。

(改憲をいう人たちに)

髙村-天皇即位も新元号も、何かの新発売もみんな横並びなんで
  すね。みんなでわっと騒いで終わりです。
   社会にとっての時代の節目は東日本大震災だったと思った
  んですけど、変わらなかっですね、この国は。
    日本人が少し地に足をつけた生き方をしていくだろうと
   思った。そうでなければおかしいでしょう。日本人は変わる
   機会を逃したと思います。
    政府も経団連も原発を推進するなど、とんでもないことで
   すよ。
    改憲の是非を議論する以前に憲法を守ることが政治の原
   である、という原理原則に立ち戻ることの方が大事ですよ。
   憲法を無視する政治の下で改憲を議論しても空しいだけす。
   今ある憲法を政治がきちんと守る、先ずはそこからです。な
   し崩しになっているところで改憲もなにもない。政治を原理
   原則へ立ち戻らせるのは、私たち有権者です。

 どうだろうか、見事なまでの(物の)見方ではないだろうか。
 (政治は言葉だ)のところは、作家としての髙村さんのポリシー
 の部分の吐露だと思うが100%頷くことは出来ない部分もある
 が、それ以外はどの言葉を見ても今の私の気持ちをスカッとさせ
 てくれた。大阪にこんな素敵な人がいるのだ、

 大阪人よ、目を覚ませ!大阪万博やカジノ付きIRに浮かれて
いる場合ではない。
 今一度、維新の風に煽られずに勇気を出して原理原則を語ろう
ではないか!