昭和を代表する放送界の巨星が相次いで亡くなった。という表現は余りに世俗的すぎる。私流に云えば、かたや我がヰタ・セクスアリス形成に大いに影響を及ぼした「11PM]の名司会者・巨泉さんであり、かたや江戸っ子の粋、大人のあり方を教えてくれた粋人・六輔さんである。
共に隆盛期のテレビ文化を創った(永さんは後にラジオ文化に移る)方であった。その巨泉さんの「遺言」がネット上でいま話題になっている。巨泉さんが「週刊現代」に連載されていた『今週の遺言』(世相批評的なコラム)の最終回の文章ことである。
亡くなる直前に発売されており、私はその内容を誰かのブログ
で知った。丁度その時期たたかわれていた参院選に向け「巨泉さんの最後の言葉を拡散して下さい!」という趣旨で「今週の遺言」を紹介していた。
その「遺言」の内容とは「今のぼくにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許してください。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです」というものだった。
今回、TV各局は特集コーナーでその死を報じ、この遺言も紹介した。だが最後の部分、「・・・安倍晋三の野望は恐ろしいものです。~野党に投票して下さい。最後のお願いです」という部分を意図的にカットして放送したのである。
巨泉さんが亡くなったのは12日、その死が公表されたのが20日、参院選挙はとっくの昔に終わっていたのである。公選法も関係ない、にも拘らずTVの申し子、TV界の恩人のこの言葉を正確に伝えなかった。(ニュース23は紹介したとの情報もあるが)恩を仇で返すとはこの事ではあるまいか。
それにしても人は何故、亡くなる前に見事な本性披露(見当違いの言い方かもしれないが)をするのだろうかと思う。
奇しくも11PMの各曜日の司会者であった藤本義一さん、愛川欣也さんらも「平和」や「憲法」そして報道の自由について多くの言葉と行動を残しておられる。
藤本義一さんは、「九条の会・おおさか」の呼びかけ人の一人であった。黒田前大阪府知事の「お別れする会」では日本共産党不破議長(当時)や桂米朝さんらと一緒にお別れの言葉を述べられていた。
また愛川欣也さんはキャスターを務めていた番組の中で日本国憲法の素晴らしさを「我々は戦争しない国なんだ、ということでほかの国から尊敬されれば、それが国を愛することだと、僕は思うんです」と述べ、また放送人として、「僕は言いたい事を言う、そういうスタンスでずっとやって来たわけだから、いまさらそれを変えられないんですよ」と圧力に屈しない心意気を語っていたという。
昭和は遠くなりにけり、なんてチャラい言い方では済まない。時の権力に屈せずモノを言う人が消えていく。
藤本義一
「先ず戦争を知っている人が戦争を止めないかんのやな」
大橋巨泉
「戦争とは爺さんが始めて、おっさんが命令し、若者たちが死んでゆくものだ」
愛川欣也
「戦争というのは、いちばん弱い者のところにダメージを与えるように出来ているのです。だからこの憲法による幸せの恩恵についてじっくり考えて、守っていかないと未来は危ないよ、と言いたいのです」とそれぞれ昭和生まれの気骨を述べている。
我々も昭和生まれの中核として続かなければと思う。
藤本義一さんはあの当時でも結構圧力があったと思うのですが、黒田さんの選挙では徹底して先頭に立っておられました。
返信削除大阪の芸能人では米朝さんやいとこい師匠そして上岡龍太郎師など骨のある方々も大勢おられました。
巷の話では芸能界は創価学会の専制支配があるようです。隔世の感があります。
最後に、キンキンのパックインジャーナルは骨のある番組の最後だったような気もします。