2015年9月13日日曜日

白鳳仏に逢いに

  奈良国立博物館の会館120年記念特別展「白鳳-花ひらく仏教美術」を見に行った。義父から無料招待券を貰ったからだ。(読売新聞が主催者団体のひとつ) 
 新聞社が購読者へのサービスで配るこの種の招待券や優待券はなかなか侮れない、当日券は1,500円もするのだから。
 下世話な話はこれくらいにし、白鳳期の仏像の美しさは万人の認める処らしい。今回は薬師寺の国宝「月光菩薩立像」や「聖観世音菩薩立像」が展示された。
 神秘にあふれた飛鳥仏や成熟した天平彫刻とは違う若々しい金銅仏にその魅力があるらしい。確かに「聖観世音菩薩立像」には青年期の仏のような立ち姿が凛々しい。
 今回私は「月光菩薩立像」の雄大さに圧倒された。特に今回の展示ではそのライティングが見事でしばし見惚れた。そして、今回思いがけずその実物を目の当りにして嫁はん共ども大興奮したのが薬師寺東塔の水煙である。
 教科書で見たり、実際に薬師寺に足を運んでも下から遠く見上げるだけである。それが60センチ足らずの目の当りに見られるのである。それもこれも平成21年から始まった国宝「東塔」の解体修理のお蔭である。水煙は平成23年に特別公開されたがその時は見逃したので今回思いもかけず見ることが出来てラッキーであった。
 かのフェノロサが「凍れる音楽」と称賛したという「東塔」。巨大な水煙の中で舞う飛天や横笛を吹く天人の姿を目の当たりにした訳ではなかろうが、東塔を見上げながら説明を受け、彼が「凍れる音楽」と称賛した気持ちが私にも何となくわかるような気がした。

今回の展示とは別写真

4 件のコメント:

  1.  薬師寺聖観音などは出来過ぎているというくらい整っていますね。鞍作の止利の弟子でしょうか、新たな渡来人でしょうか。この時代の一級品の仏像などを見ますと現代人と遜色のない技術を感じさせますね。

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  2. やっぱり読売新聞の後援でしたか!近年、薬師寺は特に読売新聞と親密なようです。十数年薬師寺とは色々な縁を頂いてましたがこんな事になるとは思ってもいませんでした。「故高田管長」のメディヤ批判は痛烈でしたから・・時代の流れか・・「Y現管長」を「無法松の○○」「ごり押しの○○」と言っていましたが・・昨年6月の「故高田好胤管長」の法要にも「読売新聞大阪本社編集局長」が挨拶してました。宗教とメディアの関わりは注意しなくてはいけないと思います。「反民主主義・右翼読売新聞の主張」に対して宗教者自身の自覚が必要であり「現薬師寺経営?」に疑問を感じる最近です。
    非常に残念です!!

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  3. 追記。「故高田管長」はマスコミに売り込んで「タレント坊主」と言われていました。それは大企業や大金持ちに寄付を頼むのではなく「写経一巻千円」で伽藍復興を心感じる人への協力の訴えでした。原点は一人一人への「宗教心」への呼びかけをしたと思っています。今は、逆に「読売」は薬師寺を使って己の主義主張の拡大を図っているのではないかと思っています。

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  4.  スノウさんのコメントに触発されて・・・、戦後の荒廃から立ち上がろうとするとき、拝金主義による開発政策にストップをかけるために奈良のお坊さんが果たした役割は大きかったと思います。いろんな記録に残っています。
     しかし、大規模な修繕工事の時代を迎えると、・・・予算の兼ね合いだと思いますが、国や県の政策に口をつぐみ始め、観光寺院や祈祷の寺院に変貌してきたように感じています。
     名誉職で著名人を担ぐのはよくあることですが、薬師寺の信徒総代は古くから塩川正十郎氏でした。

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