2012年6月13日水曜日

文楽を観に行こう!

 大阪市長の「文化攻撃」(私流の表現です)が止まらない。今度は、「文楽」への攻撃である。市長は府知事時代、文楽への助成金支出を半減させ、市長に当選するや否や、すぐさま市の助成金を4分の1減額する方針だという。何故、かくも文化を攻撃するのか、理由は簡単である。彼の文化論は「銭を稼がない文化は文化ではない」という事だと思う。
 落語や歌舞伎との違いについては、専門家が見解を述べておられるが、私流に解釈するところは、いずれも大阪庶民の生活の中から生まれ、庶民に育まれ、紆余曲折、栄枯盛衰を重ねながら今日まで来たのだと思う。
文楽は途中、松竹の手に渡り、興業結果を強いられ、残念ながら手放されてしまう。しかし、この伝統ある文化を守ろうと1963年、国と大阪府・市の助成を受けて「文楽協会」が設立され今日に至っている。
きり絵作家、加藤さんの「文楽人形遣い」
我が家の宝物です。
最近は、若い技芸員(世襲ではない、一般の家庭から)の養成、地方公演、学生のための文楽教室など努力を重ねてきて、東京国立劇場公演は毎回、満席であるとか。
 だが、肝心のホームグラウンドの大阪国立文楽劇場の定期公演は空席が目立つ、という状況にあるらしい。ここに、目を付けられた。「税金をつぎ込む価値がない!」と、矢の様な攻撃である。
 しかし、全国の反応は早かった。私の愛読する「上方芸能」が「文楽応援特集」を企画した。全国から「文楽を守れ」と132氏からのメッセージが寄せられた。
 トップを切ったのが、東日本大震災直後、日本人となられたコロンビア大学名誉教授のドナルド・キーン氏だ。「日本の演劇は世界の宝です。文楽が生を受けて見事な花を咲かせた大阪で、もし死に絶えるのなら、大阪の政治家の蛮行を世界は決して許さず、また忘れる事もないでしょう」と述べられた。
 これが響いたかどうか、最近市長は、「文楽は守るが、文楽協会は守らない」と言いだしている。私には、その違いはわからないが、ただ、先ほどの応援メッセージを寄せた132氏の中にも「『文楽を守れ!』と声高に叫ぶ前に,,,大阪人諸兄には、その前に為すべき事があるのでは」「本家本元の国立文楽劇場公演に空席が目立つ、という現状を、どう打開するかが、最大かつ最優先の課題なのでは」という意見もある。確かに、その点は認めざるを得ないと思う。かって、松竹から見放され、今度は、大阪人からも見放されては、「文楽」が可哀そうである。
 そこで私は決意をして、「国立文楽劇場・友の会」の入会申し込みをした。そして、大阪での公演には何が何でも観に行こうと思いもしている。大阪の文化を貶め、大阪にカジノを持ちこもうとしている市長を、”ギャフン” と言わせるためにも。

3 件のコメント:

  1. べんべんべんべん・・・夜風身に染む平成に 大阪府民がムックと起きて「さては今まで姫なりと思ひつめしは正しく鬼神、イデ本体を見届けて世の災いを絶ちくれん」 刃鋭く無二無三 切りかけ切り伏せ忽ちに 鬼神を滅ぼせし理論の威徳 末の世に伝へて べんべんべんべんべん・・・べん

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  2. 来月、文楽初体験予定です。とりあえず曽根崎心中を読んでいます。

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  3. !『義太夫では大阪弁から外れることを「訛る」という』のを先日の新聞記事で知りました。このとおり、「そこまで言うか?」というほどの大阪の文化を大阪市長が理解できないというのも情けない。
     しかし、現代語の字幕はあってもよいと私は思う。
     mykazekさん あまり予習などせずに素直に芸能として見られたら如何でしょう。
     東京公演に比べて大阪公演の方が入りが悪い理由は、単純に大阪の庶民の懐が貧しくなっているからだと思います。なぜなら、文楽に限らず、新劇だって、歌舞伎だって、音楽だって、大阪人がびっくりするほど東京は入っています。大阪は洒落で三流政治家をもてはやしているうちに、巨大な田舎になってしまっています。

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