偶然にも今朝、ラジオと新聞で被災地を励ます映画の事に触れていた。それは山田洋二監督「男はつらいよ」について。
第48作「寅次郎紅の花」シリーズ最終作となったこの回では、阪神・淡路大震災後の神戸・長田の街に寅さんが現れる。
夫婦漫才の大助・花子が扮するパン屋の夫婦が震災後再建したパン屋の店先で寅さんが声をかける、「よぅ!元気かい」そして集まった人々に「みんな苦労したんだろうな、ご苦労さんでした」と声をかける。
山田監督の心憎い演出だった。実はこのシーンが実現するまでには、こんなエピソードがあった。
「寅さんの」ロケ地に!という要請は全国からあるらしい。震災後の神戸長田の街から「寅さんに来てほしい」という要望があった時、山田監督は「こんな大変な時に寅さんのようなお調子者が行くのはどうか」と思ったらしい。しかし、長田の人々は「こんな時だからこそ、寅さんと一緒に泣きたい、そして笑いたい」と訴えたそうだ。そして、このシーンが実現したという。
ラジオ番組の中で「被災地を巡回映画で励まそう」という動きがある、と紹介していたが「男はつらいよ」シリーズ全48作を引っ提げて巡回できないものだろうか。
正直に言えば、寅さんの当初の作品は一寸アウトローの世界の喜劇のようで100%馴染んだ訳ではありません。しかし、このシリーズは一つ一つの出来不出来はあるものの、社会の変動とかみ合って、シリーズとして成長してきたような気がします。私的には、満男の成長と我が家の成長?が重なって途中からは他人事ではなくなりました。この同時代感は今の人に解るでしょうか。同時代感なんか感じられなくてもよい・・。この愚直な風刺とメッセージはきっと勇気に結びつくでしょう。
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