2015年11月21日土曜日

大阪の都市格を上げるためにも!

 こんな時に衝撃である。こんな時とは、大阪の未来を左右するダブル選挙の真っ只中の“こんな時„である。
 先日、新聞紙上の小さな記事で季刊「上方芸能」が終刊することが報じられ驚いた。その後、数日して定期購読している「上方芸能」の198号が届けられ、その編集前記に、木津川計発行人が終刊の経緯を書いておられる。
 「小誌の幕を降ろす理由は二つ、一つは『経費の償はざること』読者の高齢化による定期購読者の減少が痛手となりました。二つめは、発行人たる私が老いた事です。創刊時33歳でしたのに八十を数えたのです」と述べておられる。
 二つめの理由については、森西氏に次ぐ広瀬さんという優秀な編集長をはじめ優秀、多彩なスタッフもおられるであろうに、木津川氏の高齢を理由にするのは不自然ではなかろうか、と思う。やはり一つ目の理由が大きいのだろうと思う。
 それにしてもである。木津川氏は1984年(昭和59年)発行の「上方の笑い」(講談社現代新書)のあとがきで「<文化>にルビをつけるとしたら、はにかみであるー太宰治のことばである。人間だってそうだ。控え目で、慎み深く、いつも含羞をたたえている人に惹かれる。~都市も同様である。~かって京阪の地は『上方』であった。~上方から江戸へ下した輸出品には値打ちがあった。下らない、江戸の地の自家生産物には値打ちはなく、だから、くだらないという言葉が生まれた。そんな構図が逆転して、がめつい都市とみられるようになった。下司の町、と言った人もいた。~これからの大阪が、依然としてなり振り構わず走り続けるとしたら、この都市の文化は遠い昔の値打ちを取り戻すことは出来まい。」と書いておられる。今から30年も前にである。
 この間、大阪人を、大阪の文化を辱めてきた大阪人や芸能社も多くいたが、木津川氏たちが辛うじて守ってきたし、黒田さんの様な知事さんもいた。しかし今、大阪の都市格、文化は橋下・松井という最悪の壊し屋によって地に堕されつつある。
 ちょうど今、「毎日」夕刊で「選択のときー15大阪ダブル選」が連載され、その③に木津川氏のインタビューが載った。「『面白ければええ』は脱却」として、「大阪は『都市格』の低下と『都市力』の衰退という二つの困難に直面している。~江戸時代、大阪は『元禄文化』が花開いた先進都市だった。しかし、明治以降の経済発展の中で、次第に文化芸術を軽視するようになった。~都市格を上げるために文化芸術を育てよう。そのためには、若手の芸術家の海外留学や創作活動に公的な助成をするなど、10年、20年がかりで人材を育成しなければならない。~俗に『お笑い100万票』という言葉がある。お笑いタレントが選挙に出ると、それだけで票が集まることを指すが、大阪人はしばしば『面白ければええやないか』という無責任な選択をしてきた。しかし、今回は大阪を再生させ、希望のある都市にするための選挙だ。主体的に考え、自分の意見をしっかり持って、冷静な選択をしてほしい。」と答えておられる。
 ダブル選挙に対する木津川氏の切なる想いに応えるには、あと1日の奮闘が必要である。何としても「オール大阪」の力で維新政治を大阪から追い出そう!そうすれば「上方芸能」の復刊も時間はかかるかもしれないが方法はあるはずだ、そう信じている。

2 件のコメント:

  1.  大阪の文化を歪めて発信したのは、今東光、花登筺、吉本芸能だという指摘がありますが、それはさておき、この記事には大いに共感を覚えます。
     広義の「文化」には少々濁ったものも否定すべきではないと思うのですが、本流を大事にする心が大切です。
     振り返ってみれば黒田革新府政の時代は大阪の多くの文化人が「元気」だったように思います。
     大阪ルネッサンスに向け微力を寄せ集めたいものです。

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  2. 金色(こんじき)のちひさき鳥のかたちして銀杏(いてふ)ちるなり夕日の岡に 与謝野晶子

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