かっての職場のF先輩(組合活動の)が出版された「雑文集」(とご本人は仰ってるが)に「確信犯」【2008・11】という文章がある。なぜ、6年前のこの文章を引っ張り出したかというと、先日の石原環境相の「除染廃棄物の中間貯蔵施設」建設をめぐる「最後は金目でしょ」発言と、東京都議会での女性議員への「セクハラやじ」事件があったからだ。
石原大臣の「金目」発言は当初「発言取消はしない」としていたが福島県民や多くの国民の批判の声に、自ら福島県に出向き、謝罪して廻った。地元町長も「(自ら出向き)けじめという事で深く受け止めたい」と謝罪を受け入れ、どうも一件落着のようだ。
また、都議会の「セクハラやじ」事件は、張本人の自民党都議が名乗り出て謝罪した。こちらの方は、他の悪質なヤジの犯人探しが続いているが、被害を受けた女性議員の対応次第という事になりそうだ。
今回のこの二人の「失言」「ヤジ発言」問題での記者会見での言い訳が本質的には全く同じ内容で「発言の趣旨は相手を傷つけるつもりはなかった」「全くの誤解、私の品を欠く発言で不快な思いをされた方にお詫びしたい」とヤジや発言の趣旨が誤解されたので謝罪したい、撤回したい、というものだった。そして、一人は会派を離脱することで「みそぎ」をし、一人は堂々と今後も「福島の被災者に寄り添い仕事を精一杯続ける」との賜わっている。
先輩の「確信犯」の内容は、当時【2008年11月】の航空自衛隊のトップだった田母神空幕長が解任された事件の事を書いておられる。解任理由は、田母神氏が寄稿したある論文で「日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行した」「自衛隊は集団的自衛権も行使できない。武器の使用も制限され、がんじがらめで身動きできない」などと歴史を歪曲し、露骨な憲法敵視の持論を展開したことによる。当然、大きな批判を浴び、解任された(2008年当時はである)。
田母神氏は、第一次安倍内閣の時に、空幕長に任命された経緯がある。先輩は田母神氏の論文での発言を単なる「失言」ではなく「確信犯」であり、憲法を順守すべき自衛隊のトップが憲法敵視の発言をすることは重大であるとともに、このような人物を任命した安倍内閣の憲法に対する姿勢が問われており、憲法順守の姿勢を内外に鮮明にすることが必要だ、と断じておられた。
田母神氏はその後、東京都知事選挙に出たり、反共スピーカーとしてTVに出たりしている。まったく懲りていない「確信犯」である。問題はこのような人物がなぜ今も世間に受け入れられているのか?という事だ。
6年たった今、第一次安倍内閣で田母神氏を任命した安倍首相が、いま正に持ち出しているのが「集団的自衛権の行使容認」である。歴代の自民党内閣の歴史認識、憲法に対する姿勢をきちんと正そうとせず、田母神氏解任で済ませてしまった「ツケ」が今、廻ってきているのではないだろうか。今回の二人の「失言・ヤジ」事件もこのまま一件落着という事で済ませてはいけないと思う。国民の監視と、責任追及が最後まで必要だ。
写真は全然関係ないが先日書いたブログの洋食屋さんの「幻のオムジャーマン」を作ってみた。味はそこそこだったが、見た目はやっぱり本職の「彼」には到底及ばない「卵の焼き加減」だった。
都議の会派離脱がどうして都民や女性に対する謝罪になるのでしょう。
返信削除それが「謝罪」だとすると、自民党会派に対して「迷惑をかけました」ということ以外にはありません。
これ以上追及の手が広がらないように「お兄さん方々の罪も背負ってお勤めに行ってまいります。」「よし、ほとぼりが冷めるまで我慢しろよ」と言ったところでしょう。
日本のマスコミはどういうことか、こんな子供だましによく乗っかります。