連日の森友学園事件の報道の中で問題の本質から離れたワイドショー的な取り上げ方が多いように思う。
理事長夫妻の不可解な言動や、その周りにつながる政治家や役人たちの鼻白む答弁などを面白おかしく取り上げたりもしている。しかし、問題の本質として忘れてはならないのは、「国有地が不透明な経過の中で払い下げられたこと」そして「私立とはいえ、教育勅語などを用いた偏向教育があったこと」ではないだろうか。
『教育勅語がなぜ悪い!どこが悪い!』と理事長は云ったが何故、教育勅語が廃止されたかについては長谷やんのブログに詳しい。
いずれにしろ、理事長夫妻を「トカゲの尻尾きり」で幕引きすることは絶対避けなければならない。安倍首相にまつわる「加計学園」への便宜供与の問題も出てきており引き続く徹底した調査、追求が必要だと思う。
さて余談というか、教育勅語で思い出した事がある。私の中学生時代に、授業の際、竹刀をもって教室を歩き回り、問題の回答を指名され答えられない時や間違った時に「ニコっ」と笑って持っている竹刀で頭を「コッ」とやる教師がおられた。
決して痛くはなく、体罰という認識もなかった。その教師がよく我々に云った言葉がある。『努力に憾みなかりしか』『言行に恥ずるなかりしか』と、当時私はこれは「軍人勅語」だと教えられていたように記憶しているが正式には「五省」と云い、海軍兵学校で用いられていた五つの訓戒であるそうだ。
その教師がこの「五省」を用いて生徒に帝国海軍の軍人精神を注入しようとしていたとは思っていなかったし、高校受験の結果発表を大雨の中にもかかわらず、雨合羽姿で単車に乗り、いち早く各家庭に知らせに来てくれる「熱心な先生や」と親たちの評判もよかった。
私自身も社会人になっても時々「努力に憾みなかりしか」という言葉を仕事や日々の生活の中で自分の身の処し方に照らし合わせてみる事が多々あったし、今でもそうだ。
教師と生徒の関係や、教育をめぐる情勢も大きく変わってきている。しかし私の中学時代のこの教師が「五省」を唱える時、「お前は本当に勉強したんか?頑張ったんか?」という意味で云っていたのだと思う。
今度のように、幼稚園児に教育勅語を暗唱させるというのとは本質的には違っていたと思うし、この問題に関わっている人たちは、「言行に恥ずることなかりしか」と自問自答しなければならぬと思う。そんな事を思い出させる事件だ。