2016年11月23日水曜日

小さきモノと色ガラスの器


  昨日、大阪市内の「東洋陶磁美術館」で開催されている「朝鮮時代の水滴」展に行ってきた。
  筆、墨、硯、紙の文房四宝と共に文人の書斎を飾るものとして愛されてきた。あくまでも実用品でありながら文人の掌で愛でられてきたものである。
 今も学校の授業で書道があるのかは知らないが、当時を思い出して、果たして硯に水を入れるとき「はて、何で入れていたのか?」と思いだそうとしても出てこない。
 覚えているのは墨をする時に校舎の窓際に植えられていたヒマラヤ杉の針葉を千
切ってすり潰すと墨の色が濃くなると云って一生懸命すっていたという下らない事と、先生が黒板にチョークで「永」の字を書き「永の字には書道の八つの基本が含まれている」と教えて頂いたこと位である。この先生はすごい方でチョークを立てたり寝かしたりして「永」の字を毛筆で書いた様に見事に書かれていた。子供心にも「これって凄い特殊能力や」と思ったものだった。
 さてその水滴であるが、いずれも東洋陶磁美術館の所蔵品で30年ぶりの展示となるそうだ。ざっと130点ほど、大きさも形も様々な水滴が並んで見応えがあった。
 私は元来「小さきモノ」が好きで手のひらにすっぽり収まりそうな水滴など何時まで観ていても見飽きないのである。先日も骨董市で写真の水滴を買った。表の薄緑色の雷文模様と側面全体に書かれた雷文模様が見事で気に入っている。底には「乾山」の窯印があるが本物かどうかはわからない。
 東洋陶磁美術館では来月10日から「台北國立故宮博物院・北宋汝窯青磁水仙盆」展が始まる。初めての海外旅行で行った台北の故宮博物院で見たあの青磁の水仙盆が日本にやってくる。今から楽しみである。
 昼からは、空堀商店街の端にあるギャラリー風雅で開かれている「上村隆志 最後のガラス展」にお邪魔した。
 上村さんとは10数年来の馴染である。東京都日野市在住のガラス作家で板ガラスを使い様々な生活器を造っている。素晴らしい色使いで今回もモネの「睡蓮」を思わせるような皿があった。
 その上村さんだが今回の展覧会が最後になるという案内を貰い驚いて駆け付けた。
 なんでも使用しているアメリカの板ガラスのメーカーの経営が環境に関する法律が厳しくなったために破たんし、板ガラスの入手が困難になった、という事らしい。
 後で嫁はんに訊いたところ、色ガラスを製造する際、割と有害な金属や薬品を使うようで、そんな規制をクリヤーするだけの設備投資が出来なくなったという事ではないか、いう話だった。
 色ガラスを使った上村作品に欠かせない材料が輸入できなくなるという事で製作を断念することになったのは非常に残念であるが、まだまだお若いし、彼のガラスworldの再開を期したい。
  
  ガラス展は26日(土)まで開催している。場所は空堀商店街を東に抜け、左に入った「空堀桃谷公園」の上にあるが少々見つけにくいところであるので地元の人に聞いて行かれると良い。




1 件のコメント:

  1.  先日孫から電話があって「硯が欲しい」というので手持ちの習字セットをあげたが、硯、墨、筆、筆巻き、フェルトの下敷き、文鎮はあったが、どういうことか水滴がなかった。なので、習字はしなくても水滴の一つぐらいはと思っていたところです。なるほど骨董市という手があるのですね。

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