2016年11月29日火曜日

堂々たる?姑息


  例によって、こういう場合はNHKは国会中継はしない。
  こういう場合とは、政府にとって都合の悪い事がある場合、である。
 でも、どっこいインターネット中継は国会本会議及び各委員会の中継をしている。生で見忘れた人には録画放送もある。
 25日、予想通り安倍内閣は「年金カット法案」の委員会採決を強行した。当日午前中に厚生労働委員会では参考人質疑があり、このことは偶然知った。
 というのは20日の日曜日、大阪市内で大阪高齢者運動連絡会主催の「大阪高齢者集会」があってその目玉の記念講演を著書「下流老人」で有名になった藤田孝典さんにお願いしていた。
 当日はその藤田さんが予定時刻になっても現れず、事務局の皆もやきもきしたが集会の行程を変更し、藤田さんも遅れて駆け付け「日本・総下流化を防ぐために」をテーマに講演された。集会は藤田さんの素晴らしい講演と170名を超える参加者で盛会のうちに終了した。
 集会終了後、藤田さんのfacebookを見たら、当日のことが書いてあり、「私の勘違いで開会時間に遅れてしまい関係者の皆さん、ごめんなさい」というものだった。とにかく忙しい人で1120日までで今年270回の講演をこなしているそうだ。facebookには日本全国を飛び回っている様子が書かれており、その中で週末には国会に参考人招致がありそうだ、と書かれていた。
 
 で25日の厚生労働委員会での強行採決の様子はインターネットの録画で見たが酷いものだった。安倍首相は民進党の議員の質問にまともに応えず「私が述べた事を全くご理解いただいていないようでは、これは何時間やったって同じじゃないですか、」「年金カット法案(と民進党が名付けていることを捉えて)というのは、まさに年金がカットされる、その為の法案であるかのような、ごとくのような印象を与える」などと語気粗くまくし立てるだけで、質問者の「今日、強行採決をするつもりか」との再三の質問の度に答弁を中断し、「私が述べていることを国民の皆さんが聞かれたら困るんですか?」などと国会中継がない事を知っているのに質問をはぐらかし、最後には「ひたすら間違った認識に基づいて相手を非難したってこれは全く生産的でない、確かにそうやって非難すれば年金に対する、我々の法案に対する不安を煽るかもしれないが、はっきり申し上げておくが、それで民進党の支持率が上がるわけではない」と的外れの支持率の事を持ちだして口撃をする始末。
 最後に付け足しのように「今日採決するかどうかは、この委員会の皆さんがお決めになること」と言い残して出ていった。(強行採決の時には居なかった。)
 
 午前中の藤田さんや全日本年金者組合大阪府本部の加納書記長らの真剣な問題提起があったにもかかわらず午後になったら日本維新の会のチョウチン持ちの質問を最後に、というかそれを合図のように強行採決をしてしまった。
 
 国会中継のない、国民の目の届かない内に、国民の大事な年金がどんどん削減されていくのだ、こんな政府のあくどいやり方をNHKがだめなら民放が何故、国会中継しないのか!隣の国の大統領のスキャンダルなんてどうでもいいではないか!本当に腹が立つ!

2016年11月23日水曜日

小さきモノと色ガラスの器


  昨日、大阪市内の「東洋陶磁美術館」で開催されている「朝鮮時代の水滴」展に行ってきた。
  筆、墨、硯、紙の文房四宝と共に文人の書斎を飾るものとして愛されてきた。あくまでも実用品でありながら文人の掌で愛でられてきたものである。
 今も学校の授業で書道があるのかは知らないが、当時を思い出して、果たして硯に水を入れるとき「はて、何で入れていたのか?」と思いだそうとしても出てこない。
 覚えているのは墨をする時に校舎の窓際に植えられていたヒマラヤ杉の針葉を千
切ってすり潰すと墨の色が濃くなると云って一生懸命すっていたという下らない事と、先生が黒板にチョークで「永」の字を書き「永の字には書道の八つの基本が含まれている」と教えて頂いたこと位である。この先生はすごい方でチョークを立てたり寝かしたりして「永」の字を毛筆で書いた様に見事に書かれていた。子供心にも「これって凄い特殊能力や」と思ったものだった。
 さてその水滴であるが、いずれも東洋陶磁美術館の所蔵品で30年ぶりの展示となるそうだ。ざっと130点ほど、大きさも形も様々な水滴が並んで見応えがあった。
 私は元来「小さきモノ」が好きで手のひらにすっぽり収まりそうな水滴など何時まで観ていても見飽きないのである。先日も骨董市で写真の水滴を買った。表の薄緑色の雷文模様と側面全体に書かれた雷文模様が見事で気に入っている。底には「乾山」の窯印があるが本物かどうかはわからない。
 東洋陶磁美術館では来月10日から「台北國立故宮博物院・北宋汝窯青磁水仙盆」展が始まる。初めての海外旅行で行った台北の故宮博物院で見たあの青磁の水仙盆が日本にやってくる。今から楽しみである。
 昼からは、空堀商店街の端にあるギャラリー風雅で開かれている「上村隆志 最後のガラス展」にお邪魔した。
 上村さんとは10数年来の馴染である。東京都日野市在住のガラス作家で板ガラスを使い様々な生活器を造っている。素晴らしい色使いで今回もモネの「睡蓮」を思わせるような皿があった。
 その上村さんだが今回の展覧会が最後になるという案内を貰い驚いて駆け付けた。
 なんでも使用しているアメリカの板ガラスのメーカーの経営が環境に関する法律が厳しくなったために破たんし、板ガラスの入手が困難になった、という事らしい。
 後で嫁はんに訊いたところ、色ガラスを製造する際、割と有害な金属や薬品を使うようで、そんな規制をクリヤーするだけの設備投資が出来なくなったという事ではないか、いう話だった。
 色ガラスを使った上村作品に欠かせない材料が輸入できなくなるという事で製作を断念することになったのは非常に残念であるが、まだまだお若いし、彼のガラスworldの再開を期したい。
  
  ガラス展は26日(土)まで開催している。場所は空堀商店街を東に抜け、左に入った「空堀桃谷公園」の上にあるが少々見つけにくいところであるので地元の人に聞いて行かれると良い。




2016年11月18日金曜日

秋、三題

 長谷やんから柿をいただいた。
 で食べる前に「絵手紙にでも描いてから」という条件付きだったのでまだ甘さの程はわからない。
 毎年作る干し柿だが今年はマンションの大規模修繕工事でベランダが使えない。なので少数だけ作り、義父のマンションのベランダに干させてもらっている。
 
 昨日は日曜日にある大阪高齢者集会の準備作業で天満まで出たので大川端まで歩きサクラ紅葉を写真に撮った。
 私自身、例年秋のこの頃が一番忙しく、一昨日も退職者会の大人の遠足で水間寺界隈を歩いたが紅葉が無かった。だから行事の合間に身近な処で見られて、小さく「よかった」と思っている。

 今年もボジョレが届いた。新聞には「今年は出来がいい」という事が載っていたが、はたしてどうだろう?
 頂いた柿と一緒に飲んでみようと思っている。


2016年11月9日水曜日

どうでもいいけど、高低差

 必ず見るというほどではないが「ブラタモリ」(土曜夜NHK)は楽しい。同じNHKの「ためしてガッテン」のような生活に役立つ知識がいっぱい、というような番組ではないが見ていてつい引き込まれる番組である。
 街歩きの達人、タモリがブラブラ歩きながら知られざる町の歴史や人々の暮らしに迫るというのがコンセプトらしい。
 だが内容はタモリの個人的嗜好である「高低差」とか「街道の曲がり」とかを深く追及するということになる。
 こんな「高低差」というテーマがある事すら知らなかったがこの番組をきっかけに世間には「高低差学会」なる同好の氏が沢山おり、集団で街歩きをしたり、ブログ上賑やかに研究(?)発表をしたりしており、「ブラタモリ」にもよく出ている人もいるようだ。
 先週の土曜日のブラタモリ、テーマは「大阪はなぜ日本一の商都に?」だった。織田信長の「大阪を掌中に!」という悲願を自分の代で実現させた豊臣秀吉がすすめた大阪の町づくりの跡をブラブラと訪ね歩くという事に。
 そんな中で「どこか見たことがある風景、街並みだな~」と見ていると、何と退職者会で毎週のように利用させてもらっている事務所辺りではないか。
 タモリと案内人がしている会話のテーマは町名の「境」が「通り」ではなく狭い境、というより背中合わせである事だった。その写真がこれである。
 番組を見てあらためて自分で撮ったものであるがいつもこの道を歩いていたが全然気づかなかった。
 番組では、秀吉は町づくりを進める際、通りを挟んで対面する家と家を同じ町内にすることによって「同じ町内どうし」いう意識を持たせたのであるという事だった。
これを現代に置き換えると、例えば町中の道路(通り)は公道で、川(というほどの規模でない堀なども)は国土交通省の所管であり住民にとっては権益外の モノである。
 だが秀吉の町づくりの中では、例えば橋の架け替えや通りの改修なども一定の範囲内で町内で負担させたのではないかと思う。(これは番組の中で云ってなかったように思うが)
 番組後半ではもう一つのテーマである高低差について、大阪の町が上町台地を中心に広がっていったとして町中に残る跡をブラブラ歩くことに。そして行き着いたところが天満橋近くの北大江公園であった。番組ではここが上町台地の北の果て、つまり断崖であると云っていた。
 実はこの公園の下、写真の階段の下によく立ち寄る古書店があり、階段の古さと奇妙な形に興味を持っていたが此処が断崖だったとは目からウロコだった。
 古書店の店主に「ブラタモリ見てたか?」と聞いたところもう少し下まで降りて来てくれたら看板も写っていたのにと残念がっていた。写真の様に途中で変に曲がった階段や古ぼけた鉄製の扉も気になるところだが機会があったら調べてみたい。
ブラタモリという番組、イグノーベル的で楽しい番組だ。