2016年9月10日土曜日

昭和のノスタルジー


 万博公園の民博で「特別展・見世物大博覧会」という展覧会があったので見に行ってきた。
 私たち終戦後生まれの昭和世代は「見世物」という言葉に過剰に反応するのだ。
 見世物といっても親に連れられて見に行くものであるから落語に出てくる「六尺のオオイタチ」的なまがい物ではなく、サーカスと同居した立派な芸を見せるものであった。一番感心したのが立派な体格の女性が仰向けに寝転がり、差し上げた両脚の上に大きな障子を載せ、そこに狐にふんした女性が障子の桟に足をかけ、口にくわえた筆で裏文字で「恋しくば、、、」と見事に歌を書くのである。そう有名な和泉の森の葛葉伝説の歌である。
 今回は、そんな一流の芸だけでなく、六尺のイタチ同様の「蜘蛛女」や「蛇女」、「電気人間」、子ども曲馬団や軽業師など多士済々の見世物を紹介していた。
 今日は、万博公園と民博などの各施設が無料という事もあって大勢の人が見物していた。年配者が多い中、一見して「街頭パフォーマンス」でもやりそうなスタイリッシュな若者もおり、そういえばパフォーマンスの元はこうした大道芸から始まっているのだろうと思った。
 それと見世物という言葉に潜む何か秘密めいた、猥雑な雰囲気はどこからくるのだろうか、と嫁はんと話をしていたら年配のおばさん二人連れが「子とりに盗られた子らが見世物小屋に売られて芸をやらされると親に言われた」と話していて、思わず笑った。確かに「子とり」は我々子供の日常の中によく出てくる言葉で、夕方遅くまで遊んでいると「子とりが来るで~」と脅されたものだった。
 会場の中では日本各地の「高芸」とでも云えば良いのだろうか、村人が高いハシゴの上や張り渡された綱の上で危険な芸を披露する映像が流されていた。そして極め付けが「人間ポンプ」の安田里美さんの至芸を上映していた。安田さんのこの芸は、テレビなどにも出演していたから私も見たことがあるが、水と共に飲み込んだ金魚を匹数を指定して吐き出したり、同様に飲み込んだ碁石を「黒」「白」と色を指定して吐き出したりする見事な芸だった。
 もう一つ、私には関心のあったのがこうした見世物芸と、差別の問題というのがあるのだが、長くなるのでいつかまた書きたいと思う。
幸運のおまけ
 万博に向かう大阪モノレールでラッキーなものに出会った。写真の「ピンク色したハート形の吊り革(輪と云う人もいるが)である。初めて見たので写真にとり駅員さんに「これって珍しいの?」と聞くと「私ら駅員でもまだ見た事がないんです。お客さん、ラッキーですよ!」と言ってくれた。
 駅員さんの話によると、大阪モノレール全21編成車両の内、たった1個の吊り革なんだそうだ。私は乗った瞬間すぐに気が付いたが後から乗ってきたカップルはなかなか気が付かず、よっぽど教えてあげようかと思ったが男性がやっと気づき、女性もにっこり、それまで硬かったカップルの表情が和やかになった。
 帰ってからブログで調べると駅員さんが云った通り、たった1個だそうでそれも全車両の吊り革の数は約3000個、かつ取り付ける車両や位置は車両整備の係員が時々替えるそうで駅員さんにもわからないという事だった。
 ご覧の皆さんにも、幸運がありますように!💛


4 件のコメント:

  1.  記事の更新、おめでとうございます。
     見世物小屋は小さい子どもが一人ではなかなか入れませんでした。なので、私は寅さんみたいな香具師の口上を聞いていました。ガマの油的な塗り薬なのですが、斬るぞ斬るぞと言いながら一向に刀で腕を切らず、咬ますぞ咬ますぞと言いながら蛇に咬まさず、あれも芸能の域でした。
     ハートの吊り輪、知りませんでした。吊り輪との出会いで運を使い果たさないようにご注意ください。

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  2.  この種のものの中には、雑技団的なもの、芸能に属するもの、身体障碍者を見世物にするものがあります。特に3番めの見世物は消滅して当然だと思います。

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  3. ひげ親父のブログをみて17日の土曜日、民俗博物館と日本庭園に行って来ました。46年ぶりの万博会場でした。しんどかった!

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  4. 如何でしたか万博公園?、その気になればこれ位の森は出来るんですね!

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