2014年10月15日水曜日

月に棲むのは

  阪急池田の逸翁美術館で「月を愛でる」という月に因んだ美術展があったので見に行った。ここのところ「十五夜の月見」や「皆既月食」とか月に関係した出来事が続き、また友のブログでも月にまつわる話が続いていたこともあり出かけたという次第である。
 日本人にとって月は太陽に比べ特段に惹かれるものがあるようだ。太陽は作物を育て、人間の身体を育て、生きるものすべてにその恩恵を与えている。にも拘らず、その事がごく当たり前のようになり、特段の興味を示さなくなっている。(天文的な興味という意味は別にして)
 それに比べ月に対しては、古来より、日によってその姿を変えることに不思議な魔力のようなものを感じているようだ。だから四季の移ろいの美しさを「雪月花」や「花鳥風月」などという言葉で謳ってきた。「中秋の名月」を愛でることは今でも、日本人(だけではないが)の一大イベントだ。
 美術の世界でも月の冴えた美しさは水墨画のテーマであり続けているし、茶道具にも月と兎は欠かせない意匠である。当日も香合の蓋全面に兎の顔をデザインしたものがあった。
 新装なった逸翁美術館は以前の展示スペースよりは少しコンパクトになったが照明も素晴らしく気の行き届いた展示になった。小林一三さんは良いものを遺してくれた。
 「月を愛でる」ということで月を題材にした美術展であり、友のブログのように、月に棲むのは兎なのか蟹なのか、という疑問には応えられないが、いにしえの芸術家が残した美術品は大いに楽しませてくれた。
私は兎派です。

1 件のコメント:

  1.  西洋では満月は人を狂わせると言いますが、多くの日本人は月を愛でてきました。それは、妻問婚の夜道が明るかったというだけでなく、海藻やサンゴなどの海中動物が満月の夜に産卵したりする自然の摂理に素直であったからかもしれません。
     月の満ち欠けに興味を失った現代人は、大いなる自然からしっぺ返しを受けつつあるように思います。
     話は変わりますが、皆さんは上弦の月と下弦の月をどのように見分けておられますか。
     私は「右手三日月」というように独自に物差しを作って覚えることにしています。右手を横に向けて少し折り曲げた形なら三日月=上弦の期間です。左手の形なら下弦の期間=間もなく新月です。つまらぬ話ですが自分では気にいった理論の発見?です。

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