ない生活に追いやられていったのが1970年代の日本である。・・・勤労民衆を中心に地底から想像と建設の響きがほうはいとして起こってくるのもまた1970年代であった。矛盾が露呈し人々の怒号が爆発し整然と組織化されるのを恐れる者たちが、人間の心を貧しくする煮ても焼いても食えない低俗な括弧つき文化を流し込みかきたてることで、矛盾をいわば民衆内部にすり替えることに必死になっているときに、山田洋次はフ-テンの寅を創造して、人がふれあい信じあいつながりあえる事のおおらかなメッセージを勤労民衆に送り込んできた」と情熱的に書いている。
櫻田さんは、今回、著者【吉村英夫】氏が、山田監督が小津安二郎監督の「東京物語」へのオマージュとして撮った最新作「東京家族」をもって「山田洋次」論の完成が成されるのではないか、と期待しておられる。私も四半世紀を超えて「フ-テンの寅・山田洋次」の世界の解明を期待したい。ところで、前回のブログで、フィルム映画にこだわり続ける山田洋次監督の姿勢に共鳴し、フィルム映画上映館の復活を願う、とブログしたが、ここでお詫びしたいと思う。先日、大阪の書店でDVD「小津安二郎大全集」なるものを買ってしまった。「東京物語」はじめ全9作品が収めてある。店員さんに何度も確認したが、間違いなくオリジナル、9作品が入っているとの事、その値段が、なんと驚くなかれ、1,980円 なのである。盤には Made in Taiwan とあった。山田監督、寅さん、すみません。

